2025年2月、電気工事中に転落した日のこと
2025年2月のある日、僕はいつも通り電気工事の現場にいました。梯子に登って作業をしていたとき、バランスを崩して転落をしました。
不思議なことに、その瞬間は痛みよりも先に「ついにやってしまったか!」という気持ちで頭の中がいっぱいになりました。
当時は仕事が重なり余裕がない状態。
転落している瞬間は足を踏み外しているとは思ってないがゆえに、膝もまっすぐで膝のクッションも使えませんでした。
落ちた瞬間に「これ、まずいことになったかも」という直感が働きました。
今考えると意味がわからないのですが、その日、僕はそのままマニュアル車を運転して自宅まで帰りました。
右膝の靭帯が断裂した状態で、クラッチを踏みながら、ただ「仕事を終わらせなきゃ」という一念だけで運転していました。
病院での診断は、右膝前十字靭帯断裂および半月板損傷。
車の運転ができない。現場に立てない。放っておけば将来的にリスクが大きくなるケガ。
電気工事士として10年以上積み上げてきた「手に職」が、一瞬で使えなくなりました。
2014年から始めた電気工事のキャリアは10年超。父と同じ道を選び、専門学校を経て、大手建設会社の案件を扱う企業で経験を積んできました。
その全てが、梯子から落ちた数秒で止まりました。
動けない数ヶ月で気づいた「労働に依存する怖さ」
療養生活に入って頭にあったのは、とにかく「日常生活を送らなきゃ」ということでした。
歩けない。車に乗れない。でも生活は止まらない。買い物も、家の中の移動も、全部が一つひとつのハードルになる。
「まず普通の生活を取り戻す」。そこに必死でした。
そうやって日常を回そうともがいている間に、じわじわと見えてきた現実があります。
1日働けなければ、1日分の収入が消える。1週間動けなければ、1週間分が消える。
当たり前のことですが、実際に体が動かなくなって初めて、その構造の怖さが身に染みました。
建設業に関する資格はたくさん持っています。
消防設備点検資格者やアスベスト調査者の資格、電気工事士の資格なども持っています。でも、体が動かなければ資格は紙切れと同じです。
ただ、ひとつだけ止まらなかったものがありました。
レンタルサロン事業の収入です。
千葉県松戸市と東京・馬喰町で運営しているレンタルサロンPierisは、僕が現場に出られない間も、セラピストさんたちが施術を続けてくれていました。僕が寝込んでいても、予約は入り売上は立ち、レンタルサロンのご利用者さまが回してくれていました。
この経験が、僕の考え方を根本から変えました。
「自分が動けなくなっても回り続ける仕組みを、もっと増やさなければいけない」
転んでもただでは起きません。リハビリの合間に消防設備士の資格を取得しました。
動けないなら、動けない今しかできないことがあるはずです。
でも本当の転機は資格の取得ではなく、この「仕組みへの気づき」だったのかもしれません。
なぜ「IT専門家」の看板で自分を狭めていたのか
ケガから回復していく過程で、事業を立て直しながら考えていたことがあります。
「自分は何をしている人なのか」。
2005年頃、懸賞で当たったノートパソコンで、小学生の僕はHTMLを書いてホームページを作っていました。
鉄道の考察サイトや趣味のページ。メモ帳でコードを書き、ブラウザに反映される瞬間が楽しくて仕方なかった。
それが僕のIT原点です。
電気工事の道に進んでからも、現場の合間にコードを書き続けて15年。
その情熱がやがて株式会社Libistの創業(2021年)につながり、レンタルサロン開業、HP制作事業の立ち上げへと広がっていきました。
だから「ITが得意な人」と名乗ること自体は、間違ってはいなかった。
でも、「ITが苦手な経営者の味方」という看板は、自分の本質を狭めていたことに気づきました。
僕が本当にやりたいのは、「ITを教えること」でも「Webサイトを納品すること」でもない。経営者が労働だけに依存しない仕組みを、一緒に作ることです。
ITはそのための手段のひとつに過ぎません。
レンタルサロンの運営も、HP制作も、電気・消防工事も、自分で開発しているSaaSも、全部「仕組みを作る」という一本の軸でつながっていた。
それなのに「IT専門家」という看板だけを掲げていたら、その軸が見えなくなる。
だから、下ろすことにしました。
4つの事業に通っていた一本の軸
改めて自分の事業を並べてみます。
① レンタルサロン Pieris(松戸・馬喰町)
セラピストやネイリストが、初期費用を抑えて独立できる場所を提供しています。集客の仕組み化も含めて、「施術者が技術に集中できる環境」を作ることが目標です。僕がケガで動けなくなった時に収入を支えてくれた、仕組みの原点。
② HP制作(libist.jp)
「作って終わり」のホームページではなく、集客が回り続ける仕組みとしてのWeb制作。経営者が自分で更新や集客に頭を悩ませなくていい状態を作ることを目指しています。
③ 電気・消防設備工事
父の背中を追って始めた、僕のキャリアの出発点。10年超の現場経験は、地域の安全というインフラを支える仕事です。ケガで最前線に立つことは難しくなりましたが、この経験が「仕組みを作る側」としての地に足のついた視点をくれました。
④ SaaS開発(1人開発)
業務管理や集客支援のツールを、自分で設計・開発しています。「相手の困りごとを、ツールで仕組み化する」という、最も純粋な形での仕組みづくり。
4つはバラバラに見えるかもしれません。でも、全部に共通しているのは「誰かが労働だけに頼らなくて済む仕組みを作る」ということです。
- ① Pierisはセラピストの独立を仕組みで支える。
- ② HP制作は経営者の集客を仕組み化する。
- ③ 電気工事は地域の安全を仕組みとして守る。
- ④ SaaSは仕組みそのものをツールにする。
軸は最初からひとつだった。ケガをして動けなくなったことで、ようやくそれが見えました。
これからは「実践者」として発信します
このサイトは、完成した話だけを載せる場所にはしません。
仕組みを作っている途中の七転八倒も、うまくいかなかった数字も、試行錯誤の記録も、そのまま書いていきます。
理由は2つ。
ひとつは、完成品だけ見せても再現性がないからです。
「うまくいきました」という結果だけ聞いても、同じ立場の経営者には使えない。
途中経過にこそ、価値がある。
もうひとつは、僕自身がそういう発信に救われてきたからです。
経営者の勉強会で、先輩経営者たちの生々しい月報や失敗談から学んできました。
僕も同じことを、自分の場所でやりたい。
「ITが苦手な経営者の味方」ではなく、「労働に頼らない仕組みづくりの実践者」として。
同じように仕組みを作りたいと思っている経営者、フリーランス、独立を目指している人に届く発信に切り替えます。
HP、Instagram、コラム。これら全部の発信を、今まさに見直しているところです。
まだ完ぺきではありません。でも、完ぺきではないからこそ価値があると思います。
だからこそ書き始めます。
最後に見ていただきありがとうございます。